阿賀町の暮らし

ひきこもりはどのように回復するか
一般的に言って、ひきこもりの状態を改善するためには、以下のような4段階の道筋をたどる必要があります。

(1)家族支援
ひきこもりの支援は、まずは「家族支援」から始まります。家族が医療機関などに相談に行ったり、ひきこもり家族会の活動に参加することによって、ひきこもりについての理解を深めることが第一のステップになります。家族がひきこもりの理解を深めて、ひきこもる本人に対しての適切な関わり方(家族内コミュニケーション)を改善することが、本人の気持ちを落ち着かせ、その行動を変化させることにつながっていきます。
そのためには、家族が医療機関で医師や臨床心理士に相談して指導を受けたり、ひきこもりの家族会でさまざまな経験を見聞きすることが必要になります。
(2)個人的支援
次の段階では、ひきこもる本人へのアプローチを行います。ひきこもりに伴ってさまざまな精神症状が認められることはよくあることで、その一方では、精神症状がひきこもりの原因に関わっている場合もあります。そのような場合に、医師による精神医学的な治療がしばしば有効です。
多くの場合のひきこもりは「自立」の過程でのつまずきであり、その解決のためには薬物治療はあまり効果がない場合も多いので、心理的・社会的なアプローチによって「精神的自立」「社交的自立」「経済的自立」という3つの「自立」を果たす必要があります。
「精神的自立」とは、ネガティブではない自分なりの「価値観」を身につけて、自己肯定感を高めることであり、そのためには、医師や臨床心理士による心理・精神療法が有効です。
「社交的自立」のためには、対人コミュニケーションの能力を高める必要があり、そのためには、医師・臨床心理士・精神保健福祉士による支援が必要になる場合が多いと言えます。
「経済的自立」は、精神的自立と社交的自立がある程度達成された上での、最終段階と考えてください。
(3)過度的な集団との出会い
家族以外の人との関わりを避けていたひきこもりの人が社交性を回復するためには、家族以外の第三者と交流する機会を増やしていく必要があります。そしてそれは、ステップを踏むながら徐々に行う必要があるのです。初期の段階では「居場所支援」、つまり、決して他者から否定されることのない安心できる「居場所」の中で、対人交流の経験を積むことが効果的です。
自分が他者から受け入れられたという「体験」は、医師が行うどんな精神療法よりも効果的に自己肯定感を与えることになり、ひきこもりの改善につながっていきます。最近では、そのような安全基地としての「居場所」の有効性が広く認識されるようになっており、居場所の設営の取り組む自治体も増えています。
同じような体験をした人と交流する「居場所」での体験は、対人コミュニケーションの能力を高めるための訓練の機会としても非常に有用です。
(4)社会参加へと向かう
居場所での経験を積んで、自分は他者に受け入れられることを知ることで、次第に見知らぬ第三者との交流にも怖さがなくなっていき、徐々に社会参加へとつながっていきます。
ひきこもりの回復に必要な3つの自立の中では、「経済的自立」は最後のステップになります。その場合でも一般的に言って、ひきこもりの人がすぐに「一般就労」に就くのは難しいので、「労働時間や業務内容の負担を軽くして、その分に応じた謝金などを受け取る形で働く」という「中間的就労」に就くことが、まずは勧められます。地域の社会福祉協議会などで行っている「有償ボランティア活動」は、中間的就労に機会として活用することができます。
中間的就労によって働くことへの自信を深めたのちに、本格的な「経済的自立」のための一般就労に向かうことになります。
このような過程を通して、「精神的自立」「社交的自立」「経済的自立」を徐々に獲得することによって、ひきこもりの状態から脱することができます。ひきこもりからの回復には時間がかかりますが、決して不可能なことではないことを理解してください。