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ひきこもりとは

ひきこもりとは

 ひきこもりとは、(1)社会的参加(就学・就労・交遊など)を回避し、(2)原則的には6か月以上にわたって、(3)おおむね家庭にとどまり続けている状態のことを言います。
 そのようなひきこもりの人は少なく見積もっても、15~39歳(40歳未満)で54万人、40~64歳(40歳以上)で61万人、合計で115万人が全国にいると推定されています。
 その多くの場合では、本人や周りの人がとても苦悩しており、生活に支障が出ているために支援が必要とされています。
 ひきこもっている人たちが抱える苦悩として、「社会に居場所がなくてつらい」「自分はダメ人間」「外に出たいこともあるけど、人の目が気になって出られない」「なまけていると思われるのがいや」などといった声があります。

ひきこもるきっかけ

 ひきこもりのきっかけには、さまざまな要因や背景があると考えられています。
 その一つは「対人関係」です。一般に学校や職場の対人関係での挫折や不信感が、ひきこもりにつながりやすいと言われています。退職や解雇の経験などをきっかけにひきこもることも、よくあります。ひきこもりの人の中には、中学校や高校で不登校を経験している人も少なくありません。
 対人関係で困難が生じる要因としては、日本社会でよくみられる「○○でないと恥ずかしい」のような「恥」という意識の影響も考えられます。その背景として、「みんなと合わせなくてはならない」という厳しい社会からの圧力(同調圧力)があります。同調圧力に逆らえない一方で、合わせることも難しい場合に、ひきこもりにつながってしまう傾向があります。

 一方で、心の病気や不調がひきこもりのきっかけになることがあります。ひきこもり自体は病気ではありませんが、さまざまな心の病気が関係していることもあるのです。ひきこもりのきっかけになる心の病の中には、うつ病、社交不安障害、発達障害、統合失調症などがあります。


 このように、ひきこもりになるきっかけや背景はさまざまですが、ひきこもっていると、自分を肯定できずに、生きづらさを強く感じたします。そのために、心の病気の有無にかかわらず、ほとんどのケースで心理的・社会的な支援が必要となります。

相談窓口

 ひきこもりの状態にある人やその家族の相談窓口として、「ひきこもり地域支援センター」が都道府県や政令指定都市に設置されています。また、多くの自治体の役場などでも「ひきこもりの相談窓口」を開設しています。そのために一般的には、ホームページなどで情報を集めて、相談する窓口を調べることが勧められます。
 都道府県・政令指定都市の「ひきこもり地域支援センター」では、電話相談を受け付けており、専門のコーディネーターが医療、雇用、福祉などの機関や家族会などと連携して支援を行っています。センター内にひきこもりの人たちが交流できる「場」を設置しているところもあります。

 

 「医療機関に相談」する場合は、精神科や心療内科などを受診するのが一般的ですが、ひきこもりの問題に十分対応できる医療機関は、まだ一部に限られています。ひきこもりでは本人が受診できる場合はまれなので、まずは家族のみで相談に行く必要があります。ところが、そのような「家族のみの受診」は受け付けていない医療機関も数多くあります。そのため一般的には、まずは、家族のみの相談に応じてくれるかどうかを医療機関に電話で確認する必要があります。

 また、医療機関が家族のみの相談に応じる場合でも、その診療は保険診療の対象とはならずに、自費の家族相談になる場合もあるということも知っておく必要があると思います。

中高年化・長期化するひきこもり

 ひきこもりの問題は2000年前後から注目されるようになりましたが、当時は不況による就職難もあり、若い年代が中心だと考えられていました。
 しかしその後の調査から、中高年にもひきこもりが多く、加えてひきこもりの期間が長期化していることが知られるようになりました。最近では、80歳代の親と50歳代のひきもりの子どもが同居する「8050問題」と呼ばれるようなケースが増えており、大きな社会問題となっています。

 子どもがひきこもっていることを「恥ずかしい」「他人には話せない」と考える親は少なくありません。しかし、家族だけで抱え込んでしまうと、本人も家族も、社会から孤立してしまい、ますますつらい状況になってしまいます。
 ひきこもりの問題を解決するためには、家族だけの対応では不十分な場合がほとんどです。家族だけの対応では、ひきこもりを解決することはできないと考えてください。ですので、専門家に相談して、適切な支援を受けることが是非とも必要になります。
 居住する自治体の「ひきこもり相談窓口」を調べて連絡すれば、保健師などの訪問相談を受けられる場合が多く、相談にのってもらえます。
 医療機関に相談に行く場合には、いきなり本人を連れていこうとするのではなく、まずは親が相談に行きましょう。そして、本人と相談先の相性などをよく考慮したうえで、安心して相談できる場所だということを伝えて、本人も行ってみることを提案してください。しかし、本人が嫌がる場合は決して強要せずに、家族のみでの相談を続けながら、時間をおいて再度提案するようにしましょう。

 家族だけでひきこもりの問題を抱え込まずに、できるだけ早く適切な支援を求めることが必要とされています。

文責:町営診療所みかわ精神科医師・薄井宏(医学博士)

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